greets,michael

saimmer@excite.co.jp

001【発覚】

 2007年の5月上旬、携帯メールが鳴った。

「2万円貸して、冬のボーナスで返すけん」

 福岡の兄からだ。
 おいおい、2万なんてすぐなくなるはした金じゃないか。つーかまだ夏前なのに冬返しかよ。まぁ、去年借金50万くらいあるって言ってたからいい機会だ、この際全部白状させよう。そして、50万くらいだったら嫁のナオに伺いたてて代払いしよう。
「兄貴、いったい今借金いくらあるんだ? 正確な金額と金融機関名を教えてくれ」
「……」、答えない。
「確か去年50万くらいて言ってたよな。それから増えたのか、減ったのか?」
「……、ライフカードに50万円くらい、あの時と同じ」
「くらいとか曖昧な数字はやめろ、もっと正確な金額を教えろ! それに車のローンは別なんだろ?」
「……、そう言われても本当に正確な金額はわからない…。金融機関名は日本プラム、ライフ、車のローンは楽天KC」
 電話を切ると僕はすぐにwebで調べたコールセンターへ兄になりすまし、債務金額について問い合わせた。カードが手元にない旨を伝え、名前、生年月日の質問に答えると意外と簡単に現時点での債務金額を知ることができた。
 日本プラム83,000円、ライフ538,000円、楽天(車)785,000円(百円以下切り捨て)。総額約140万円。
 おいおい、こりゃ普通に働いても返せない。まさかこんなにあるとは、、、なんとかまだナオに頼み込めるか、頼み込むか、頼み込むしかない……。
 これ以上借金があると、ナオに頼み込むにも限度があるので、念には念を押して兄にカマをかけてみた。明るく朗らかな口調で。
「おーい、まだまだ本丸を隠しとうやろ? 怒らんし驚かんけん言ってみな」

「……、CFJと武富士、、、どっちも100万くらいかなぁ…」




 兄は小さい債務から大きい債務へと順に吐いていったのだ。債務総額は約330万円。
 月々の支払額は武富士35,000円、CFJディック24,000円、楽天KC16,000、ライフ15,000円、日本プラム4,000の合計94,000円だ。普通に働いて返せる額ではない。これでは人生が借金で終わってしまう。
 ロスタイムに武富士とCFJ、双頭の竜に強烈なカウンターアタックを食らった気分だ。うなだれ、視界はクラクラしながらもナオに代払いを頼み込んだ。
 借金の海に溺れる兄を助けたい一心で。
 その晩、ナオと全部の通帳を広げ、2人の今までを振り返った。今までいっぱいケンカしたこと、いっぱい旅行に行ったこと、そして、この通帳には2人の思い出がいっぱい詰まってること。
 翌日、ナオと2人でお金をサラ金へ振り込んだ。2人の思い出のお金がATMへとスルリと消えた。そして2人泣いていた。
 愛情だけでは生活は成り立たない。僕たちは生活を支えていた柱でもある預金のほとんどを失った。
 兄弟の僕からだとお互い甘えがでるので、仕上げにナオから兄へメールを送った。

「2人の大切な思い出がいっぱい詰まったお金です。大切に受け取ってください」

002【戦友】

 僕にとって兄はかけがえのない唯一の家族だ。僕が中学に入学する前の春休みに母は蒸発し、オヤジは廃人のように無気力になった。楽しくないことのほうが多い希望なんてない毎日だったけど、僕と兄の2人は強がりながら、励まし合い、そしてお互いに協力しながら生活した。
 2才年上の兄は地元の高校を卒業後、家を出て福岡市内で調理の仕事に就き、その年の正月には僕にお年玉をくれた。2万円。その時の兄のあたたかい目を忘れることはできない。今は福岡の外れの実家で年金暮らしの父と2人で暮らしている。
 僕は兄と同じ高校を卒業後、2年間編集デザインの専門学校へ行き、その後は福岡の広告会社、出版社などを転々と渡り歩いて、現在は東京で暮らしている。
 給料前にお金が尽きると、兄が働いてるレストランに行ってタダ飯を食わせてもらった。新鮮な魚に肉、栄養のことも考えて、野菜もたくさん食わせてもらった。
 兄のマンションに泊まりに行った時には、僕の仕事の愚痴を聞いてもらい、時には生活費を2、3万借りることもあった。
 東京で働き始めたあとでも、帰省した際にはレストランで奢ってもらい、お互い思い出した時には電話で連絡を取り合った仲だ。少しの食料(楽しみ)を2人で分け合った兄は僕にとって、たった1人の兄弟であり、そして家族であり、戦友のような存在だ。
 10年くらい前に、兄から借金があることは打ち明けられていたので、気にはかけていたが、もし白状されても僕もまだ貧乏生活で助けることはできないので、深く訊ねることはできなかった。
 今の僕は一応、あの苦しい生活からは抜け出したが、兄はまだ絶望的な金額の借金地獄でもがいてる。兄が楽しくないと僕も楽しくない。だからなんとしてでも1日でも早く助けたかった、楽になってほしかった、全財産投げ出してでも。その財産は僕1人のものではないのだが。。。
 受話器越しに苦しかったあの頃、助け合った思い出話をしながら僕は泣いた、兄も泣いていた。そして、これから立ち直ると兄は力強く誓った。

003【過払い請求】

 そんな時、オヤジから「過払い請求」という言葉を聞いた。サラ金に返済したお金が返ってくるらしい。そんな都合のいいボランティアのような話があるわけないじゃないかと軽く罵って電話を切ったが、ものは試しとgoogle検索した。
 ズラリズラリ、続々と情報が沸き上がってくる!
 どうやら本当に借りていたお金が返ってくるみたいだが、数字に弱い僕にはいまいち理解できないので本屋へ行き、ビギナー向けに書かれたやさしい内容の入門書を買った。
 簡単に説明すると、利息の上限には2種類の法律があり、片方は約30%、もう片方は約20%で、金融業者は受け取った利息の差額の約10%を借りていた人に返さなければならないというもの。簡単な計算例でいくと、1万円を借りて、3千円払った利子から1千円が返ってくる計算だ。一概には言えないが、例えば50万円の限度額いっぱいの取引を5年程続けていれば、借金はなくなり、逆に30万円ほど過払いが発生する。
 もう少し詳しく説明すると、出資法(ビジネスに対しての法律)では29.2%が利息の上限で、貸金業に対しての利息制限法の上限金利は18%だが、利息制限法に違反しても罰則がないため、5年ほど前に最高裁で18%上限の利息制限法を支持する判決が出る前までは事実上29.2%が貸金業者の通常金利となっていた。その29.2%と18%の間の金利のことをグレーゾーン金利という。
 金融業者から過去の借金の履歴(取引履歴)を取り寄せ、Webからダウンロードできるマクロ入りのエクセルに、借り入れおよび返済金額と日時を入力すると、過払い金額が算出され、訴状のフォーマットに過払い金額を打ち込んで裁判所へ提出すると裁判が始まり、ほぼその過払い請求額が認められる。最終取引日から10年が時効で、過去に完済した取引には過払い金とは別に年利5%の利息(遅延損害金)を受け取ることができる。裁判所では個人での訴訟も受け付けている。

 もしかするとこれは戻ってくるかもしれない。カマかけながらようやく釣り上げた魚だ。逃げられると元も子もないので、優しく、慎重に、卵を扱うようにそっと過去に借り入れしていた会社名だけを聞き出した。現在過去合わせて10社。会社名だけで十分だ。ここまでわかればあとは本人になりすますなり、委任状を作るなりしてサラ金へアプローチするだけだ。そして過払いが出る可能性が高い9社分の取引履歴を請求した。
 最後に銀行からの借り入れはないか尋ねた。
 まぁ、銀行が相手するはずないことは分かり切ってるんだけど、念のため。

004【サラ金】

 サラ金とは主にサラリーマンを対象にした金融業者を略した呼称。一般的に消費者金融と呼ばれている。預金業務は行わず、貸し付けのみの業態はノンバンクとも呼ばれる。1970年代に日本経済の成長とともに貸し付け総額、店舗数を拡大。無担保、少額、スピード融資が特長で、主に個人、小規模事業主への貸し付けを行う。
 黎明期のサラ金は50%近い高金利と脅しながらの督促、強引な取り立てでサラ金の評判は悪く、債務者を生命保険へ加入させたり、その保険金を消費者金融が受け取っていた事実が明るみに出たりと消費者金融は社会問題となった。90年代に入り明るくキャッチーなCMと無人契約機、ATMの普及により、借金からキャッシングへと呼び方も替わり、イメージアップに成功して借金に対する世間の抵抗感は弱まった。顧客データベースに基づくスコアリング貸し出しシステム(経験と勘に頼ったアナログ的な貸し出し審査ではなく、蓄積したデータによる属性審査)を導入したことにより、飛躍的に業務効率はアップし、それにともない利益も増大した。元祖サラ金の武富士はあまりに有名。



 客層はアメリカのサブプライムと同じく、銀行で融資を受けられない、もしくは担保を持たないなどの優良ではない顧客が多い。
 初回の貸し出し限度額は10万〜50万と少額だが、スライドリボルビング方式返済(リボ払い)のスピードよりも限度額拡大のスピードが早いためにどうしても限度額いっぱい借りてしまうので完済は至難の業。一社が貸し出す一般的な限度額は100万円が多く、他社からの借入が少ない優良顧客へは200万、300万と貸し出すこともある。借り入れ限度額いっぱいで推移することを天井状態という。
 一般的に消費者金融など5社以上から借り入れをしている人を金融庁では多重債務者と定義している。この段階になると、借金総額はゆうに300万円を超え、自力返済はほぼ不可能となり、サラ金ビルの階上のフロアから階下のフロアへ目が回るような返済即借り入れのハシゴをしながら下っていく。
 現在ではコンビニの銀行ATMとサラ金が提携したことにより、いつでもどこでも気軽にキャッシングできるようになった。過払い判決が出る前は武富士のような独立系、アメリカのシティバンク、GEなどの外資系、日本メジャー銀行系資本がひしめき合うように営業していたが、過払い判決後は返還金が経営を圧迫し、多くの独立系は銀行傘下に収まり、中小サラ金は統廃合し、外資系は身売りしている。

005【切り札】

 こんなにバカ高い金利なのになぜサラ金から借りるんだ? とmichaelは思うかもしれないが、借りる側にとっては「今、スグに」必要なのだ。金利とか返済とかの問題ではない、今お金が「ある」か「ない」かそれしか考えていない。例えば女の子に今晩食事に誘われる、が財布の中身はスッカラカン。そんな時に銀行のように一週間「待ってくれ」では女の子は待ってくれない。
 まあ、僕も1998年から2002年までサラ金からちょこちょこつまんでいた。当時の職場の隣にプロミスがオープンした三日目にさっそく行ってみた。銀行のようにお姉さんたちが整った声で「いらっしゃいませ〜」ってな具合で拍子抜けで怖いおにーちゃんなんかいなかった。というか僕は丁寧にお金を借りにいったのに、僕よりさらに低姿勢な窓口の対応に戸惑った。待合いのベンチを見渡すと会社の同僚が3人も座っている。みんなでお互い給料安いねーなんて笑うしかなかった。みんな今はどうしてるんだろう? 名前、住所、電話番号、勤務年数などのパーソナルデータを記入し、金融信用情報機関のデータベースに延滞情報などがないことが確認されると、窓口で丁寧な融資説明(聞いていない、もしくは理解不能)のあとカードを受け取った。カードのデザインはハデなサラ金の看板とは逆に意外にも地味で、プロミスのロゴすら入っていない。限度額は20万円。その時の僕は20万円も借りることはありえないと思った。
 さっそく店頭の窓口で1万円の借入を申し込むと当然のように1万円くれた、いや借りれた。友達に借金申し込むと渋〜い顔されるかもしれないのに。預金もしてないし、何も財産もないのに貸してくれた。こんなこと学校でも教えてくれなかったことだ。しかもあたたかく迎えられ、店を出る時には手厚くお礼までいわれて。。。
 michael、今度日本に帰ってきた時には、サラ金でトイレを借りてみるのもいいかもよ。あのあいさつは一見の価値ありだ。
 後日、試しにATMを使ってみた。対面交渉の店頭キャッシングだとお互いある種の緊張感があり、どのような人が借りているかを見ることができるので店側としても安心感がありそうだが、機械だとのような感じだろうかと。
 結果は、早い! 簡単! 恥ずかしくない! 思わず1万円札をかざしてスカシが入ってることを確認した。コイツは使える!

 こうしてピンチを救う最強のカードを手に入れた。




006【友達以上恋人未満の関係】

 それからは、ちょこっと借りてはすぐに返してと、小さな借金を繰り返していたが。返済日を忘れていたその日、あの優しいプロミスおねーさんから催促の電話が入った。「今仕事がめちゃ忙しいから明日入金しまーす」「ダメです! 約束は守りなさい! すぐに入金しなさい!」

 …あの優しいおねーさんが怒っている、、、あのおねーさんは味方じゃない、これはビジネスだ。

 そう、それまではATMで借りたり返したりするほうがラクで早いのはわかっていたが、僕はあえて窓口でやっていた。店を出るときに窓口のおねーさん3人ぐらいと、他のスタッフが口をそろえて「ありがとうございました!」と見送られる一瞬がたまらなく気持ちいい。というか、あまり人からお礼を言われたことがないのだろう。
 返済遅れでおねーさんから怒られてからはなんだか気まずくなり、だんだんと窓口から足が遠のいた。今ではサラ金は銀行ATMとも提携し、出金のみ可能だったのが返済も受け付けるようになり、さらに便利に、そしてさらに誰にもバレずにキャッシングできるようになっていった。
 1万、2万の攻防から5万、10万の攻防へ、、、便利すぎてついつい使ってしまう。。。
 ついに10万を超えたとき、さすがにヤバイと思った。給料の半分じゃないか。月々の最低返済額は5千円ほどだが、5千円返しても10万円の完済へはほど遠い。
 店指定のリボ払い方式から、僕独自に編み出した一旦全額返済方式に切り替えた。これは給料が出るとひとまず全部返済し、債務総額をひと月に2、3万ずつ圧縮させるというもの。そして1年かけてほぼ完済までもっていった。が、どうしてもついつい1万、2万つまんでしまう。借金というより銀行の自分の預金から引き出す感覚だ。別の表現をすると「借りる権利」か?
 結局完済したのはmichaelと出会った直前のマレーシアへ出発前だ。携帯の解約と同時にようやく完済できた。言い換えると、携帯と同じくらい便利で、必要なものだったのだろう。
 借金体質になると借金から抜け出すのは至難の業だ。

007【パチンコ】

 兄の借金の原因のほとんどはパチンコだ。michaelも初めて日本に来たときにやったあれだ。パチンカーにとってパチンコとパチスロ(スロットマシーン)は別物と譲らないが、ギャンブルゲームには変わりはない。パチンコホールは、都市圏の駅前から田舎の幹線道路沿いまで日本全国津々浦々にあり、サラリーマンから主婦、老人までがプレイしている日本を代表する大衆娯楽だ。
 パチスロでは1日で20万円以上手に入れることもあるが、1万円の種銭は30分ほどでなくなるほどギャンブル性は高い。そして、遊戯中の全プレイヤーのうちの約20%が勝つと言われ、パチンカーはその20%に入るために、雑誌や攻略本で勉強し、日々技術、スキルを磨いている。負ける確率は80%、明らかに負ける確率のほうが高い。
 パチンコホールの近くにはサラ金ATMがあるほどに、パチンコとサラ金は密に繋がっている。そしてパチンカーのほとんどがサラ金からつまんでいると言われている。朝10時の開店前から、1日の中でも勝率が上がるとされるモーニング設定台を目指し、次代の日本を担うはずの若者までもが列をなして並んでいる。さらに勝率が上昇する新装開店、新台入れ替えはイベントと呼ばれる。それに照準を合わせてハデハデなチラシがまかれ、前日の夜から徹夜の行列ができる。ホールの閉店時間は地域によって異なるが、だいたい23時が多い。
 パチンコホールの派手なネオンと看板は遠く離れていても認識可能で、田舎のパチンコホールでは広大な駐車場、ホール内には意味なく豪華なシャンデリアが光っている。客のほとんどは喫煙者でコーヒーを好み、コーヒー売りの女の子がホール内を巡回している。パチンカーはホール大音響にも心を乱すことなく集中して一発逆転を狙い、一心不乱に刹那的な夢を追いかけている。と言えば言葉の響きはいいが、ただ時間とお金を浪費しているだけだ。
 パチンコホールの経営者の70%〜90%が韓国、朝鮮人が経営していると言われ、パチンコのことを別名「朝鮮玉入れ」とも言い、北朝鮮の資金になっているとも言われる。
 パチンコ業界団体は政界との結びつきも強く、朝鮮から日本の政治家へパチンコ規制緩和の要請もある。



008【根拠のない自信】

 michaelはあの時、渋谷の焼き肉レストランの窓から、パチンコ屋に入る人々を眺めながら「理解できない」って言っていたね。掛け金が何倍にもなって返ってくる快感と勝率20%に入った優越感は、一度覚えると忘れられない感覚で、病みつきになるらしい。michaelも初回来日時にパチンコで勝ったのに全然嬉しそうにしてないとizumiが言っていたが、日本中のパチンカーからするとmichaelの感覚のほうが狂っている。
 僕は中学校の頃に友達に誘われて何回か行ったことはあるが、10数回行って勝ったのはたったの1回だけだ。別にパチンコにハマったわけではない、ただ山を見ると登ってしまう多感な年頃だ。新規開店、新装オープン、新台入れ替えのイベントにも絶対勝つからと友達に誘われて行っても、みんなで仲良く全敗した記憶しかない。昼に学校抜け出して行ったにもかかわらず。
 それでもパチンコを打つ前は、今日こそは勝つんじゃないか(前回負けたのでそろそろ)、というまったく根拠のない自信だけはあり、ウナギ食べよ、とかジーンズ買お、とかなんだか期待でウキウキする前向きな気分がよかった。
 たまに10万とか20万とか大勝ちした友達は、みんなにたかられまくっていた。ま、そのお金は簡単に手に入れた金だから、おごりまくってすぐにバブルのようになくなってしまう。まあ、パチンカーの特長として勝った時の話しかしないんだけど。
 中学3年の頃に友達3人とパチンコしてたらみんなで警察に捕まり、条例でプレイ可能な年齢の16歳と言い張っていたが、そのうちの1人が以前その警察官に捕まった前歴があり、補導されていたのであっさりと捕まった。生活指導の先生にはボコボコに殴られ、これを機会に僕はパチンコを辞めた。
 高校になって完全にパチンコが頭から抜けた頃、前触れもなくパチンコで大勝ちしてる夢をみて、こりゃ神様のお告げか〜!!! と学校をサボって、意気込んで行ったものの見事に負け、僕はパチンコから完全に引退した。

 パチンコの神様なんていないのだ。



009【お得意様】

 テレビ局や新聞社などのマスコミにとって、サラ金業界とパチンコ業界は大のお得意様だ。広告は世相をを映し出す鏡だ。90年代前半、日本バブル崩壊後の不況で一般企業が広告出稿を手控える中、マスコミの収入の生命線である広告収入の落ち込みを救った業種がサラ金とパチンコだ。不況になると広告の審査は甘くなる。
 パチンコ業界は、有名タレントを起用したCMだけでなく、タレントは肖像権を売り、パチンコメーカーとコラボレーションしてタレントの知名度をフルに活用したパチンコ機種を開発。さらにタレントはパチンコホールのイベントに出演したりして地道に10万円から100万円とも言われる日銭を稼いでいる。
 そして今ではサラ金業界だけでなく、大手銀行のほとんどが無担保即融資のカードローン事業に進出し、大々的なCM展開をしている。銀行は自社ブランドの高利無担保金融、そして傘下のサラ金の2つの業種を使い分けながら個人融資を行っている。
 パチンコ、サラ金の存在は多重債務や自殺の原因とされるため、現在はマスコミとパチンコ、サラ金業界はタバコ業界のように夜10時以前はCMを流さないなど自主規制をしている。
 だが広告を規制している以外の時間帯でも、格闘技、プロ野球、フィギュアスケートなどのテレビ番組のスポンサーにはパチンコ機械のメーカー、有力パチンコホールチェーン、サラ金がつき、リングやスタジアムにはパチンコやサラ金の看板が並ぶ。さらに「○○カップスケートショー」といった番組プログラム名の○○にはスポンサーのサラ金やパチンコの企業名が入る。このような間接的な広告手法は法規制をすり抜ける際によく使われる。
 このようなもたれ合いの図式では、マスコミがパチンコ、サラ金批判や消費者目線の報道はタブーであり不可能だ。マスコミ業界の収入の80%以上はスポンサーからの広告収入だ。購読、視聴者がいなくても媒体の存続は可能だが、スポンサーがいないとマスコミは存在することはできない。これはマスコミ批判ではなく、当然の社会構造だ。したがってマスコミはビジネスパートナーであるサラ金に不利益を被る過払い請求の詳細は報道しない。
 インターネットが発達した今では、情報を黙殺することが困難になり「多重債務の相談は弁護士へ」と解決場所を記する報道は親切な部類で、「過払い金の返還がサラ金の経営を圧迫」とか形式的な報道がほとんどだ。もちろんHow toなどの具体的な解決法は報道しない。
 対照的に市場規模が小さい電車の中吊りやラジオ放送の広告は、サラ金、パチンコ、そして過払い請求の依頼が欲しい弁護士の広告が隣り合っている。おそらく規制が緩いのだろう、そして企業とはいえない小規模の弁護士事務所が広告を出稿できるくらいに広告料金も安い。もっと貸したいサラ金の広告、10%くらいの金利で借金の一本化を勧める銀行、債務整理を提案する弁護士事務所、射幸心をそそるパチンコのイベント告知。これじゃあ多重債務者だって迷ってしまう。

010【明るい将来設計】

 兄は自分で目を覚まさなければならない。
 そのためには兄の給与通帳管理して、パチンコに行ってないかをチェックして、、、子供じゃあるまいし。そして僕はそんなにヒマじゃない。
 兄の借金は僕とナオによる代払いで完済したが、これから大切なことはなぜこのようなことになったのかという原因究明と、このようなことが2度と起こらないよう本人が自立し、自ら再発防止に努めさせなければならない。
 なぜ借金が300万を超えるまで膨れあがったのか、そして自力で止めることができなかったのか?
 それは情報化社会のスピードについていけてなかったからだと思う。僕が初めて就職した1990年代後半から、僕の仕事はアナログ作業からパソコンを使う作業へと移行した。その恩恵にあやかり僕はパソコンに苦手意識はなく、多くの情報の中から必要な情報を拾う作業に長けている。兄はパソコンを使えないどころか、あの借金ではパソコンを買うにはほど遠く、新聞など紙媒体も読む金もないので情報収集能力は低く、情報化社会から取り残されてしまっている。もし、兄がパソコンを使うなどして情報収集能力があれば、自力での債務整理の方法を模索したり、自己管理のプランを立てることができたはずだ。
 実家のプロバイダ契約は以前に僕が済ませてあるので、兄には安いパソコンを買わせ、早く操作に慣れるようスタートアップはスポーツ新聞のトップページがいいかな、そして車検は格安車検で安く抑えて、買い物はオークションを使ってなるべく安く、カード決済はデビットカードで、今ではネットバンキングも便利だし、、、とにかく失った時間を取り戻させよう。底まで堕ちたんだからやればできる。兄はツイている。たまたま弟夫婦からキャッシュがポンと出てきた、これは立ち直るまたとない機会だ。なんだか希望的な計画で光があふれてきた。

 なんて考えながらmichaelとizumiの結婚式に向けてドイツ行きの飛行機に乗った。

011【目を覚ますのは】

 ドイツから帰国後、出国前に申請していた取引履歴をエクセルのテンプレートへと打ち込んだ。うまくいけば280万円程取り戻せる計算だ。というか、これ以上に兄は利息を払っていたということか。競輪選手並の超高速回転の自転車漕ぎ返済をしていたのか。。。
 個人での過払い金返還訴訟の方法は、普段は犯罪の温床のように扱われる日本最大の掲示板サイト、2ちゃんねる(以下2ch)を参考にした。なんといっても情報の精度が細かく、実例が多いので心強い。裁判所内のレストランのオススメメニュー、売店の場所、過払い訴訟における会社別応対事例、返還金の入金のタイミング、はたまた金融会社の担当者名まで書き込まれている。訴状の作り方までも丁寧に解説されていて、日付と金額を打ち変えるだけのフォーマットデータまでアップロードされていてとても親切だ。
 ダウンロードしたワードのテンプレートでは体裁がいまいちで、なんだか味気ないので、別アプリケーションに置き換え、内容も複数のひな型から抽出して編集し、2chとのコラボレーションでオリジナル訴状を作り上げた。




 僕は勇み足で福岡ローカルのサラ金へ宣戦布告の電話をかけた。

「弟さん? 悪いけど、あんたに返す金はないよ」
「代払いしたけん、僕が受け取ってもいいじゃないですか!」(お、悪党登場か? ここは引かずに戦わなくてはならない!)
「あんたのお母さんには返す用意はある」

「…? …!? …!」

 その担当者からは、毎月母親が店頭で返済していたこと、「バカ息子だね〜」と呟いていたことを聞いた。
 兄には立ち直ってほしい、目を覚ましてしっかり生きてほしいと願っていたが、今回が初めてではなく2回目の代払いだ。しかも兄はそのことを隠している。

 目を覚まさなければならないのは僕かもしれない…。

012【サイマーの行動パターン】1

 母親の代払い虚しく、再び鮮やかに借金へと走った兄。老いた母親が苦しむ息子を思いながらサラ金のイスに座り、どのような気持ちで返済していたか兄は想像することができたのだろうか? いや、想像できたならば2度と同じ過ちを繰り返すことはなかったはずだ。
 僕は兄の更生計画を見直さなければならない。
 そして僕は2chの「家族に多重債務者がいて泣かされている人のスレ」へたどり着いた。
 以下延々と続くが蓄積された家族の思いなので原文そのままに抜粋。


1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 メェル:sage 投稿日:2008/06/27(金) 00:48:11 ID:b6rdOgI/0
ここは家族に多重債務者を抱えた人のスレです。
自分の身は自分で守れ! 転んでも泣くな! 肩代わり厳禁!

853 名前:名無しさん@ご利用は計画的に[] 投稿日:03/10/17 19:52
借金ぐせのある家族がいたら、
1 一緒になんぞ住まない。なるべく遠隔地が好ましい。(当たり前だが見捨てる)
2 闇金が家族にせまったら即警察へ
3 定期的に自分の信用情報チェック(名義を使われる為)
4 代払いをしない。督促が家族にシフトされる。(クオークなんか凄いらしいが)
5 知らん所で保証人にされても絶対認めない(追認行為に相当する為)
6 1に追加だが免許証と住民票と戸籍を問題の家族と同じ所にしない。
  本籍も含む。
7 貸禁は諸刃の剣。闇金へ即GO!となるリスクを負うかも。
俺元皿金勤務。駄文で悪い。ほんの少しでも参考になれば。
更生は難しいと思ってくれ。自分の身と生活を守ろう。冷たいようだが
----------------------
多重者の借金の言い訳
1.金を落とした。(スリ・盗難を含む)
2.病気になり費用がかさむ。(誰でも入院します)
3.事故に遭い、弁償しなくてはならない。
4.来週入金予定あり、今欲しい物が有るので貸して。
以上が代表的な手口です。
皆様、思い当たり有りませんか?

相談者へ
・「お金は今後2度と貸さない」と決意後「今回だけは貸します、でも今後は
 貸しません」という方は、ずっと貸しまくるのがオチです。
・愚痴だけ書いて何も行動しないと叩かれるので注意が必要です。
・いい歳して借金親と同居し、借金親のひどさを嘆く社会人の方は
 その前に一人暮らししろと言いたい。
・連帯保証人を引き受けたらおしまいです。

痛い回答者もいますので注意
・家族の借金くらいあんたが代わりに返してあげなさい
・宗教の教え、社訓に「家族は愛しなさい」とある。たかが
 数十万、数百万の借金くらいで 家族を見捨てるとは許せない!
・借金でつらいお気持ちはわかります。私の身内に多重債務者は1人も
 いなくて良かった♪(以下借金がない自分の家族自慢を延々と)
・知り合いに金を貸した。金はあげたつもりで、返って来ないと思った。
 でも全額返してもらった。金を貸したら返ってこないと言い切る
 このスレの住人は性格が悪いし・・・

多重債務者とは
「ウソつき」「のらりくらり」「助けたらつけ上がる」「絶対に金は返さない」
「口のうまい」「笑ってごまかす」「お金を貸すカモを見つける才能はすごい」
「カモを見つけたら相手が貸すまで(再起不能になるまで)しつこくつきまとう、
時間を問わず電話攻撃、訪問攻撃も」「金の為に自分の子供を悪用する」
「子供が可哀そうと言いながら食事も衣料も満足に与えず、不憫な思いをさせる」
「オレを信用できないのかが口癖」「泣き落とし」「開き直って逆切れ」「死んでやる」
「遺産相続になったら家、金は全てゲット」「趣味はパチンコ」「自営業者も多い」
「育てた恩を忘れたのか、も口癖」「どんな手でも使う」
「多重債務者が男なら、離婚せずにいる妻に要注意。よく見ると妻は被害者ではなく共犯者」
「夫の借金の相談に来て出した結論が、今さら別れて働くくらいなら、今後も
 借金夫と一緒にいた方が楽できるしマシと計算する専業主婦も」

013【サイマーの行動パターン】2

家族に多重債務者がいて泣かされている人のフローチャート
0.多重債務者に金を渡す、代わりに支払うなどといった行為をやめる。
(多重債務者はたとえ血族であってもあなたを「金づる」としか見ていない)
1.家族全員の債務総額、保証額を調べる。口を割らない奴は見捨てる。
(信用情報機関に問い合わせる、取立て屋に残りの債務総額を言わせるなど)
2.どこからの借金かを把握する。
(カード会社や合法サラ金の中に闇金が混じっていないか)
3.弁護士に相談する。電話帳や市役所の法律相談などをチェックすべし。
(全ての弁護士が債務整理に強いとは限らない。話をして信頼できそうな人に頼もう)
4.闇金がいた場合は警察に。
(闇金は一般の業者と違い、法律を守ろうという意識がない。警察以外では止められない)
5.特定調停や過払い返還請求、自己破産などを比較検討し、最も自分にいい選択肢を弁護士と相談の上で決める。
(裁判をやって相手が勝つことはあまりありません。弁護士によっては「簡単だから」という理由で自己破産させたがる香具師も)
6.多重債務の原因となった家族とは別居し、金は何があっても渡さないこと。
(たとえ借金がなくなっても、ほとんどの多重債務者はまた借金を作ります。涙はその時だけと心得よ)

対サイマーの心得
・サイマーは人ではないと思え。容赦するな。
・サイマーからは極力離れよ。
・サイマーの肩代わりは絶対にするな。する奴は共犯者だ。
・サイマーを信用するな。
・サイマーとは積極的に離婚しろ。そんな奴、他もだらしない。
・サイマーが友人ならば、それは友人ではない。
・サイマーの親が住む家からはすぐに出て行け。
・サイマーにお金を貸したら-1掛けで返ってくると思え。0掛けなら感謝せよ
・他人に保険証などを絶対に預けるな。
・一つの借金があると思ったら十の借金があると思え。
・一つしか借金が残っていないといわれたら三の借金があると思え。
・サイマーから離れない者は共犯サイマーだと思え。

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・自分名義のクレジットカードを他人に渡すな
・他人にカードを貸して悪用されたら自己責任で払え
・カードを持ち逃げされたら解約しろ
・「サイマー相手でも話せばわかる」と言うのはサイマーに痛い目に
 あったことのない香具師です
・サイマーに説教しても言うだけ無駄、都合の悪いことはスルーされます。
・サイマーに説教=酔っ払いに説教
・○○さえしなければいい人なのに→○○には重大な欠陥が入ります。
・「別れろ」といわれて、意地になって別れないこともあります。
・サイマーに金を貸して借用書を書かせる=無駄な行為です。
・一方が加害者、一方が被害者ととらえれしまい、被害者を助けるために
 援助しまくった結果、あなたも借金地獄。
・人情論にだまされるな
・事情を知らない親戚・会社の上司・近所の住人の無責任な発言、痛い回答に
 だまされるな。その結果地獄を見ても彼らは一切責任は取らない。
・業者工作員の書き込みに注意。

・油断するな
運よく借金がチャラになっても一件落着ではない。
チャラになった後にサイマーがヤミ金に手を出したら終わり。
サイマー本人が本気で改心して立ち直る気がないと深刻な事態に。
・立ち直れるか?
「立ち直りたい」というサイマー本人から相談があれば、少しは脈あリ。
家族や他人が「サイマーがいるのだが。どうにかならないのか?」と相談があればムリ。

・理不尽な言い訳名人
「死のうと思えば今すぐここで死んでやってもいい、でも人生やり直したい。
もう一度だけチャンスをくれ。お願いだからお金貸してくれ」
お前は金・金とマイナス思考で醜い」

・サイマーの借金で実家が売られそう
「実家を死守したい」という弱みに付け込むサイマーもいるので注意。
「実家が売られそうだから助けてくれ」「家の名義を譲ってやる」 といって
「名義を譲ってもらえる=格安でマイホーム」と思ったらサイマーの餌食。

・サイマーとは
結婚・出産・入学卒業・入院・葬儀・遺産相続等、大金が集まる時に特に張り切ります。
狙いは全額総取り。即散財。結婚葬儀の受付に座らせたら危険。

サイマー=多重債務者を管理監督したがる症候群に注意
・クセのありすぎる大人でも、面倒を見れば立ち直れると本気で思い込むこと。
・相談内容に借金の原因(主にパチ・自営業の失敗)を書くと
 叩かれるために相談者は原因を隠す。
・債務整理させれば目が覚めると本気で思い込む
・相談者が多重債務者の面倒を見て、立ち直る過程=ありもしない現実=妄想
 に酔っていることもある
・苦労している私に酔っているだけのこともある
・パチンカスサイマーを債務整理させた後はきっちり管理・監督をすると
 宣言するが、債務整理前にサイマーにパチを辞めさせたという報告はない。

サイマーを管理監督をした香具師は痛い目に遭った上に悲惨な結果になる。
サイマー管理監督の成功体験談と二度目の免責成功体験談は見たことない。

014【サイマーの行動パターン】3

Q このスレにサイマーは来てほしくない
A 借金生活板は当然サイマーの皆さんも多数来ています。よってムリ。

Q このスレで叩かれたくない
A 他掲示板でお願いします。このスレに書かなければいいのですから

Q 自分の苦労話を聞いてくれ
A それ以上に修羅場をくぐった方もいますが・・・。
  苦労話はOKだが「話を聞いてくれてうれしい」とばかりに
  連投をやりだすと 「自分語りウザイ、ブログでやれ」

Q 全レスしたら叩かれた
A 全レス不要。自分が主役で踊りたいだけならブログで

Q 回答されたくない
A 諦めてください

Q 小町脳とは
A 某新聞社の掲示板を参考。
  けんか腰で痛い回答をする。もしくはヒステリックに叩くだけのおばさん。

Q サイマーを家から追い出す方法を教えてくれ
A 居座られたら余程のことがなければ出て行きません
  
Q 元サイマーだけど話を聞いてくれ
A 「個人に(家族含)お金を返したのか」という逆質問はスルーされる
 
Q 身内の借金がきれいになくなり、みんなで仲良く暮らして生きたい
A 気持ちはわかる

Q うまい方法を教えて下さい
A そんな方法はない

Q 債務整理させます
(そして)
Q 自己破産後に今度はヤミ金に借金を作られたのだが
A ・・・・

Q うまい方法を教えて下さい
A そもそもうまい方法なんかない

Q 絶縁専用スレ立てろって人は?
A スルーしましょう。
 ほとんどのアドバイスが「多重債務者家族から逃げろ」になるのは当然です。
 (スレ住人が経験者なので)
 ただし、多重債務者の家族と決別するかどうかはあなた自身が決めること。
 しかし、考えている間にあなたの状況が今より状況良くなるか酷くなるか解からない。
もしくは、相談者のまともな家族に迷惑に被害が及ぶことも想定して決めましょう。
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名言
「サイマーの周りだけが大騒ぎ」
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家族の多重債務者が発覚したときのフローチャート(家族同居バージョン)

多重債務発覚→→→→→→→→→→→→→→→→代払い拒否→→→→→追い出して見捨てる→本気→残った家族は生き残る
    ↓                              ↓                 ↓中途半端
懇願され代払い→→→→借金してまで代払い    自己破産させる      内緒で金を→→→→渡す→生涯たかられる
    ↓               ↓              ↓                 ↓渡さない
与信が上がり再借金   与信が上がり再借金   闇金に手を出す      勝手に保証人にされて金を借りられる
    ↓               ↓              ↓                 ↓
悪化して振り出しに戻る 悪化して振り出しに戻る 悪化して振り出しに戻る  悪化して振り出しに戻る
(借金額上昇)  (借金額上昇で家族も借金持ち) (引っ切り無しの催促)  (本人も家族も借金持ちになっている)

015【サイマーの行動パターン】4

サイマーとは何か 行動パターンスレより
>サイマー=主に自転車操業中の人間。
>しかし必ずしも借金持ち=サイマーでは無い。
>ちゃんと仕事をして社会的な信用や担保を積んで、
>計画立てて厳しい審査をパスして安い金利で借り、しかもちゃんと返済・完済。
>そういう人はこのスレではサイマーと呼ばない。

住宅購入を例にすると
・キャッシュで家を購入した。借金はない。預貯金はもちろんある。
(サイマーではありません)
・住宅ローンを使って購入したが余裕で払えている。他に借金はない。
(サイマーではありません)
・住宅ローンを使って購入した。他に借金も滞納もないが貧乏生活でとてもきつい。
(収入に見合った生活です。勘違いされる方もいますがサイマーではありません)

・住宅ローンは払えず滞納し他にも借金を作って滞納。
・住宅ローンが払えないので親類、友人から借金をして踏み倒した
・住宅ローンの他に税金、公共料金を滞納した
・滞納で電気ガス水道携帯電話を止められた。もしくは強制解約させられた。
・滞納してもギャンブルは止められない。今日もギャンブルで負けた。
(クズサイマー認定)
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【対サイマーの心得】

・サイマーは人ではないと思え。容赦するな。
・サイマーからは極力離れよ。
・サイマーにお金を貸したら-1掛けで返ってくると思え。0掛けなら感謝せよ
・一つの借金があると思ったら十の借金があると思え。
・「サイマー相手でも話せばわかる」と言うのはサイマーに痛い目にあったことのない香具師です
・サイマーに説教しても言うだけ無駄、都合の悪いことはスルーされます。
・サイマーに説教=酔っ払いに説教
・○○さえしなければいい人なのに→○○には重大な欠陥が入ります。
・サイマーに金を貸して借用書を書かせる=無駄な行為です。
・人情論にだまされるな
・事情を知らない親戚・会社の上司・近所の住人の無責任な発言、痛い回答にだまされるな
その結果地獄を見ても彼らは一切責任は取らない。
・サイマーの行動に呆れ返っても「あの金はもう返さなくてもいい」とか絶対に言ってはならない。
・サイマーの「以前貸してまだ返してない」という事実は何かあった時に締め上げるための道具として使え。

016【サイマーの行動パターン】5

<黒の特徴 おさらい> (改定版 2007.10.12版)
○すぐに財布を落とす。しかも年に複数回。
○かならず近々金が入る予定がある事を強調する。
○いつも目がうつろ又は、絶えずキョロキョロしている。
○恩を仇で返すのが得意技である。
○社会の仕組みを知らない。
○いつも自分中心に話を進める。
○なぜかパチンコ・スロットの知識は豊富である。
○家族又は友達・知り合いが急に病気になる事が多い。
○なぜか交通事故によく遭う。そのくせ保険には必ず加入していない。
○類まれな出来事が、黒には普通に起こる。
○振込先の銀行はかなりマニアックな銀行
○基本的にはバカであるが、金を借りるいい訳は天才的な物がある。
○質問中に仕事や来客で長時間席を外し、戻ってくると都合のいい質問にしか返事しない
○交通事故の相手は怖い人たちである
○名前を何度も変えてでてくる
○せっかく貸してくれる人が現れても切羽つまってるくせに自分が出す条件と合わないと断る
○すいません と言う
○友人知人が一括返済を求めてくる。
○家族に病人がいる事を、”必ず”強調する。
○なぜか中年女性が増えた。
○金が無いのは自分のせいなのに、なぜか他人に責任があるような言い訳をする。
○住人からのアドバイスを聞かず、とにかく金を借りたがる。
○金が無いくせに普通車に乗っている。
○必ず廻りに相談する人間がいない。
○自分の出した計算が合わない事を指摘されると、あたふたする。
○自分の都合で、パソコンや携帯が壊れたり止まる
○なぜか、メアドは777が絡む
○就職したて若しくは、転職先が決まったばかりなのに返す自信はある
○サラ金の融資枠が本人の承諾も得ず、勝手に機械で増額されている
○リストラ、病気(本人含む、廻りの人間)、交通事故等、不幸な事が一度に
 押し寄せてくる
○なぜか、金を借りた友達から一括返済を求められる。しかも額が大きい
○このスレの住人がせっかくアドバイスをしてるのに、屁理屈で否定する
○「黒」になって金が無い原因は本人なのに、あたかも「急に家族が病気になった」
 「友達から金を返せと急に言われた」「家賃を大家が待ってくれない」等、
 別な人が悪い言い方をする
○必ずテンプレが虫食い状態である
○「その点は反省してます」というレスが返ってくるが、反省する時期を間違えている
○本人のみならず、親や親類縁者まで再起不能な状態である事を強調する
○なぜか役所や相談所が頭に浮かばずに、このスレが先に頭に浮かぶ
○他の黒の妨害をしても、借りようとする

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サイマーの特技や体験する不思議な現象

・給料日なのにお金が振り込まれてない、という事が度々起こる
・他の人には決して見えない透明人間の友達をたくさん持っている
・パチンコで勝った金や借りた金を、プロも顔負けの手品で消失させる事ができる
・親戚は何度も死んだり生き返ったりする
・持病をたくさん持っている.月末になる度にタイミングよく代わり番こで発病してローテーションしていく
・月末になると必ず財布を落とす.後日カード類は無事で現金だけ抜き取られて近くのゴミ箱から発見される.これが毎月必ず起こる
・自分に都合の悪い言葉を発せられた瞬間光の速さで発病する耳の病気.しかし数分後には治っている
・よく交通事故を起こす.そして相手は必ず黒ベンツである
○フシアナ・トリップを理解していない”振り”をする。
○就職の面接が決まっただけなのに、もう給料を貰った気でいる。
○突然スレ上から消えて、住人の記憶から消えてきた頃に再登場をかます。
○却下されると逆切れする。
○どんなに断られても、借りられるまで張り付く。
○世間知らずである。
○趣味・嗜好品の費用を、意地でも減らそうとしない。
○”臨時の支払い”が、しょっちゅう出てくる。
○家賃を1月や2月くらい滞納するのは気にならない。
○さすがに4月や5月分滞納してくると、急に慌てだす。
○黒なのに親に仕送りをしている。
○親から支払の金を貰ったのに、ギャンブルで飛ばしてしまう事が流行っている。
○「自分が甘かったです。もう二度とこのような・・・」と反省の弁を述べながら、ここに借金しにくる。
○プライド”だけ”は人の3倍は持っている。
○さらに、却下されて逆切れおこした時は、それが300倍に膨れ上がる。
○携帯が止まると、死んでしまう。
○友人・知人の借金は返済しなくても、闇金にだけは意地でも返済しようとする。
○さんざん張り付いて、住人からウザがられて、挙句には隔離スレを立てられる。
○時々発作的に、自作自演を行う事を覚えた。
○子供やペットを登場させて、同情を買うことを覚えた。
○なぜか借りたお金はスムーズにATMから引き出せるのに、返済の時はスムーズに
 入金できない。
○給料が20万くらいしか無くて、どう考えても月2〜3万しか残らないのに、
 「返済は5万くらいを考えてます」ととち狂った事を言う。
○働けど働けど生活が楽にならず、じっと手を見ている。
○なぜか住民票を取ることが、困難な状況にある。
○在籍確認を物凄く嫌う。
○サラの融資限度額を貯金と思い込んでいて、借り入れすることを「引き出す」「おろす」と平気で言う。
○なんとかメール対応に持ち込もうとする。
○インフラは支払わないが、馬鹿高い携帯代は遅延しないで払う
○手渡し取引を極端に嫌う、強行に振込みを主張する
○大排気量の車を所有している
○女の場合、子供をダシにしてお涙頂戴の物語を考え付く。

017【人間崩壊】

 あああぁぁぁぁ、当たっている。ものの見事に。。。

 オーマイガー!!!!!!!!!!!!!!!

 寄付なのかお布施なのか募金なのか、、、お金を溶かしてしまった感覚だ。
 いったい今までの僕は何だったんだ! 当の本人はいたって平穏なのに、泣き、悲しみ、そして動き回っているのは僕じゃないか。
 そして、もし僕たちが借金をして代払いしていたら、、、僕とナオは借金地獄へ一直線だったところだ。
 兄には、代払いの資金は僕の会社の資本金を取り崩して充てたため、僕の会社は信用機関に事故情報が載り、7年間は融資はもちろんリースすら組めないこと。もし会社の口座の残金がなくなると、仕事の取引先に知れ渡り事実上倒産となることを言ってみた。(大嘘だが)

「えぇぇぇーーー、ほんとうにすみません」

 もし本当に反省してるなら一緒に暮らしている父親とそのことについて話しくらいするはずだ。後日、父に確認したが、そのような話題はなかったとこのと。
 まだ逃げるのか…?(兄は自分に都合が悪いことを隠すのか?)
 次に母親からの代払いの総額と、その資金を母親はどのようにして捻出したかを訊ねた。
 兄が言うには、母親が自分に掛けていた保険を解約したお金で代払いし、総額は110万円くらい。兄は母親に10万円を1年と少しの期間返済したとのこと。

「オヤジも母親も、もうあと10年くらいしか生きられないだろ」と説教すると兄は

「えっ、そんなことない!」

 そんなことない? 2人とも年金暮らしだ、70才くらいで人間死んじゃうじゃないか。兄は時間の計算ができていない。時間軸を失っているのだろう。オヤジは年々シワと白髪は増え、歯は入れ歯へと替わり、背中は少しずつ曲がり、会うたびに確実に歳をとっている。10年前とは明らかに違うじゃないか。あと長く生きても20年、精神的な楽しさが肉体的な苦痛を超えることは難しいだろう。老化しているオヤジに会った後には悲しさしか残らないのに。
 兄にはもう一度、母親の代払い資金は保険の解約か、借金での代払いの可能性はないかと問い詰めたが、保険の解約で間違いないとのこと。しかし、、、

「母親には奥の手があるけん大丈夫、ばーちゃんから相続した土地があるけん」

 僕は言葉を失った。これは反省している人が吐く言葉ではない。

・・・完全に壊れている。。。

 それから兄のことを2chにならい、愛と親しみを込めて「サイマー」と呼ぶことにした。注)スイマーではない。

018【母親】

 人は蒸発した母親について、許したのか、許さないのかと僕に聞く。僕にとって許す、許さない、そのようなものは存在しない。べつに母親は法律に触れる犯罪を犯したわけじゃないじゃない。蒸発という行為はただ離婚の際に不利になるくらいだ。
 母親が蒸発して3年後、連絡があって一度だけ会ったが、感覚的には初対面の人と会ってる感じだった。人捜しのTV番組では、「会いたかったよ!」「ずっと待ってた!」と涙の再会シーンが視聴者の涙を誘うが、僕は母親との再会を待ってはいなかったし、会ったことで何かが変わるとも思わなかった。状況を受け入れて自分なりに歩いていたからだろう。「こんな冷たい人間に育てたおぼえはない」別れ際にそう言われ、その時以降連絡はとっていない。
 恨んでいるのか? ともよく質問されるがこれも違う。ただ方向性というか歩む道が違うだけだ。母親の道を否定はしない、1つの道として尊重している。一緒に住もうと言われたが丁寧に断った。何かを得れば、何かを失う。道の選択にはそれなりの結果がついてくるのがいたって自然だ。
 例えば、あなたは母親から「本当の母親は別にいるのよ」と告白されたらどうする? 本当の母親を探して差し替えるのか? まさか自分に限ってそんな非現実的なことはないと思うだろう。しかし、もしとまさかは世の常だ。あなたが積み上げた常識は転覆するでしょう。
 それでも結局は生んだ親なんだから親は親。と人は言うが、それ以前に人であってほしいと切に願う。
 ただ、母親は単独での蒸発ではなく、一緒に蒸発した相手には奥さんと小さな子供が3人いた。当時32歳の3児の母は、相当路頭に迷ったんじゃないか。相手方の家族へは何らかの責任を負うと思う。人として。
 僕がやらなければならないことは批判でも非難でもないと思う。ただ母親と同じ選択をしないだけだ。
 兄は母親とは連絡を取り合っていたみたいだ。兄の一度目の就職は母の紹介によるものだ。兄は困難なプロセスもなく、就職という結果を簡単に手に入れたことも借金を重ねた要因になったように思える。

019【債権者】

 母親は僕にとっては何者でもないが、今回の件では過去に代払いをし、過払い返還金を受け取る権利がある債権者だ。僕とナオは返ってきた過払い金は平等に債権者の母親へも分配しなければならない。
 オヤジを軽く小突いて母親の電話番号を聞き出し電話した。母親は僕の口調がですます調だと他人行儀だと言って泣き出したので、僕はすぐに馴れ馴れしい口調に切り替え、兄の借金のこと、過払い訴訟、そして返還金分配のことを説明した。
 僕がナオと結婚していることについては兄から報告を受けて知っていた。母親と母の姉とで兄にご祝儀と手紙を託したとのことだが、手紙は受け取ったがご祝儀は受け取ってない。金額は30万円。

 ま、まさかおめでたいお金を…

 金がないので上京できないと言う兄とオヤジを結婚式に呼ぶために、僕たち夫婦は旅費、交通費、宿泊代のすべてを支払った。にもかかわらず、兄と親父からのご祝儀は0円だ。兄とオヤジは母親から預かった祝儀30万をガメている。オヤジに訊いてみたら「預かったけどどこにしまったか覚えてない」とわけわからない言い訳をしている。取引履歴でも多く返済した跡はない。のちに他の親族にもご祝儀回収ツアーをしたいたことも後に発覚した。
 そして兄の自己申告では母親に「10万円を1年ちょっと」返済した、と言っていた。母親が言うには「1万円を1年ちょっと」だ。どちらかが勝手に円相場を操作しているのか?
 他にも博多駅で財布を落として借金を申込みに来たこと、母が相続した土地について卑しい目で尋ねていたこと。そして兄は僕の就職祝いにシェーバーをプレゼントしたと母親に話していたなど。僕はそのシェーバーはもらっていない、兄のマンションに泊めてもらった時にブラウンのシェーバーを見かけたが、おそらくそれだ。

 背筋をゾッと冷たいものが走った。

 その時にはすでにパーフェクトサイマーだったのだ。あのいい思い出も一瞬で色褪せた。借金が片づいても人格は変わらないからパンクを繰り返す。現在だけを見てはだめだ、もっと遠い過去に人間性が変質した原因がある気がする。
 そして母親は僕に、完全に交信を絶つとこのように問題の抑止力が弱まる旨のことを言った。確かに一理ある意見だが、何事にもメリットとデメリットは生じる、価値観の問題だ。僕にとっては交信をたったことはよかったと思っている。
 母親の姉の息子ダケも今は完済したが、以前は多重債務者だったらしい。彼は東京で料理の仕事をしてるので、過払いについて連絡してくれないかと頼まれたが、僕からは連絡はしないが、ダケから連絡してくるのであれば断りはしないと言って電話を切った。

020【借金ゾンビ】

 サイマーの脅威は手を差し伸べる者の財産を食い尽くすだけでなく、サイマーへと感染させていくことだ。もし借金をしてサイマーを助けることになれば、その人は借金地獄へ堕ちるだろう。後に2発、3発と続く破産を、サイマーを助ける時には予想できないからだ。どこの親も「この子はやればできる!」が口癖だ。子供を信用しない親はいない。が、残念ながら目の前にいるのは人ではない、借金ゾンビなのだ。喜怒哀楽のすべてがウソだ。
 僕は大きな過ちを犯した。代払いをしたことだ。もし、僕とナオが借金地獄へ陥ればナオの両親がナオを全力で助けに来るはずだ。そしてナオの両親に債務を上回る蓄えがなければサイマー病は伝染し、血縁を越えて一瞬で皆借金地獄だ。もし、僕とナオが借金で代払いをしていたら。。。
 こうなった以上僕の家族まででサイマーの伝染を止めなければならない。
 これ以上兄に関わってはいけない。絶縁しなければこの連鎖は終わらない。ナオは兄弟だから絶縁まですることはないんじゃないかと言ってはいるが、僕たちは「たまたま」ローカルサラ金の担当者より事実を知らされ、「たまたま」命拾いしただけだ。この偶然の巡り合わせを僕たちはキッチリとつかまなければならない。
 絶縁という響きはなんとも仰々しい言葉だが、平易に言えば過去をとるか、未来をとるかの問題で決して難しい選択ではない。半端に交流を残して将来に不安を残すよりは、スッパリと断ち切り自分たちの安全を優先する。ナオをこれ以上危険にさらすわけにはいかない。もっと極端に言えば、例えば5人家族がサイマー感染して全員死ぬより、サイマー1人が死ねば4人の家族が助かる。死ぬのは1人でいい。もし法律が許すならば殺っちまうのが一番だ。絶縁はサイマーに泣く家族にとって唯一の自衛の手段だ。
 兄が立ち直る可能性はまったくないわけではないが、僕たちはこれから増えるかもしれない家族のために、お金は貯めるなり遣うなりするほうが建設的だと考える。枯れ木に水を差すより、若葉に水を差す方が100倍有意義だ。しかも、その立ち直る可能性は限りなくゼロに近い。仮面の下は笑顔だ。
 将来を選んだ代わりに僕が失ったものは、里帰りの場所と理由か。生まれ育った思い入れある郷里が遠ざかるようで正直悲しい。郷里の記憶からともに過ごした兄の姿だけを消去することはできない。思い出は遠ざかれば遠ざかるほど輝きを増す。でも、もう一度…、と思うとサイマーの餌食となる。
 そのサイマーも親族にとっては猛威をふるうが、利害関係のない他人に対するととたんに弱い。ただ親族へは希望をちらつかせながら財産を引き出しているだけだからだ。まぶしい希望に目が眩んだ親族には低次元なウソも涙も通用するが、アカの他人には通用しない。ウソを塗り重ねるとともに年月も流れ、だんだんと友人は離れていき社会生活も困難となっていく。サイマーの脳を科学的に分析すると、どこかの数値が一般人の平均値と違うはずだ。
 同類の種と比較、ランク付けすると、ニート以上、詐欺師未満といった序列か。引きこもり生活が基本のニートはあまり行動的ではなく、ある意味ホームセキュリティーの役割まで果たす。莫大な借金を作ったり伝染ったりしないぶん迷惑度はサイマーより低い。しかし、詐欺師は親族はもちろん、他人まで騙すことができる。サイマーは他人には通用しないが、詐欺師は通用する。なぜ?
 人の心が読める、もしくは見えるからだ。僕にとってサイマーのウソや矛盾を見破ることは簡単だが、詐欺師の専門的な知識と磨かれたテクニックに応戦する自信はない。
 サイマーは最強ではない。取り扱い方法さえ間違えなければただの困ったちゃんだ。

021【破産制度】

 300万から400万の借金でほとんどのサイマーはパンクし、自己破産目前で肉親を頼り借金の理由を隠すためにウソをつく。その理由のほとんどは「飲む」「打つ」「買う」といわれる。
 兄には簡単な内容の過払い裁判のマニュアルを渡した。理解したか聞くと「えっ、本当にそんなことできるとぉ〜?」と思わずズッコケそうになる答えを返し、裁判を渋った。「できるとぉ〜?」じゃない、や・る・の。おそらく読んでないか理解できなかったかの2つに1つだろう。僕とナオのために過払い金を取り返さなければはずなのに、「ごめんなさい、反省しています」の言葉と行動が逆行している。つまり自分のことしか考えていないのだ。
 サイマーは自己破産を恐れ、裁判を怖がる。自分の安全が第一だ。恐ろしい闇金から借りる度胸があるサイマーはごく一部だ。ちなみに闇金は存在自体が違法で、元金以外は返す必要はない。1万円借りたらそのまま1万円返せばいいだけだ。もし脅されたら警察へモシモシすればOKだ。自己破産という言葉は小学生でも知っているほど有名だが、破産=すべてを失うといったイメージだけが一人歩きしている。
 日本の破産制度には大きく分けて3つある。
 一番有名な「自己破産」はその中の1つで、不動産とか車とかの財産は手放さなければならないが、金融機関の信用情報に破産の記録が7年間記載されるだけで、誰かにバレることなくすべての借金がチャラになる。公が認める踏み倒し制度だ。ギャンブルなどの浪費での自己破産は原則認められないが、誰もそこには突っ込まずに免責はおりる。弁護士費用は50万円ほど。
 自己破産は財産を没収されるが、「個人再生」の申し立てをすると、債務総額の20%程度を3年ほどで返済するだけで借金はなくなる。これも信用情報に載るが、誰にもバレない。免責が下りた後は家計簿を裁判所へ提出しなければならない。
 「任意整理」とは債務額を確定し、利息制限法の18%で引き直して計算し、金融会社との和解のうえ支払っていく制度。利息を低利へ引き直すことで多くの人の債務は減り、逆に法定利息よりも返し過ぎていると過払い金として返還される。
 サイマーは自己破産→人生真っ暗、裁判→訴えられる、警察→逮捕される、闇金→怖い、と思考が短略的で常人と比較して知識が乏しい。正しい知識か情報収集力さえあればサイマーにはならなくて済むが、借金を借金で返済するようになると時間の経過と反比例して思考は幼児化していく。

022【フヅ】

 7月を過ぎても僕らの生活はサイマーの話題でもちきりだ。叩けば叩くほどホコリは出るわ、過去の言動を思い起こすと矛盾だらけだ。ナオは会社内で喜々としてサイマー探しなんかしている。サイマーに対しての恐怖はないみたいだ。
 そんな中、僕にフヅからメールが入った。
「近々東京に行きます」
 おおおぉ、懐かしい、最後にフヅ会ったのは9年前だ。僕は今32歳、フヅは26歳。
 フヅは僕の高校時代の友人シュウの妹で、初めての出会いは僕が高校1年生の16歳、フヅが小学4年生の10歳の頃だ。僕たちの付き合いはフヅがまだ幼女時代から始まり、オトコを意識し始める思春期、反抗期、大学進学、成人を兄のシュウとともに見守ってきた。シュウの口癖は、「やつが美人になるのは無理だ、性格さえなんとかなれば、誰かと結婚できる」だ。僕が高校を卒業した後でも、僕とフヅはたまに手紙や電話で近況を報告し合った仲だ。僕にとってもフヅはかわいい妹のような存在だ。




 さっそく「飯でも食うぞ! ウチに泊まっていけ」と返事を入れ、土曜日の午後6時に最寄り駅の地下鉄出口で落ち合うことに決まった。
 その翌日、兄から過払い返還金の入金用銀行通帳と暗唱番号のメモを添えたキャッシュカードが届いた。またも兄になりすまし、銀行へ電話をかけてカードの暗証番号を変更し、ネットバンキングへと切り替えた。これで入金口座は差し押さえ完了だ。口座を解約しない限り兄は勝手に過払い返還金を引き出すことはできない。ちなみに変更前の暗証番号は7337。ATMでも親指ハッピネス
 そしてフヅと待ち合わせの土曜の6時なった。外は蒸している、一雨きそうだ。僕とナオの2人は待ち合わせの出口でフヅを待っていた。来たっ、大きめの紙袋とショルダーバックを手に階段を駆け上がってきた。
 「こんにちは!」「久しぶり!」、メイクは少しギャル系か? あいさつもそこそこに僕らは中華レストランへ向かった。
 フヅは中華料理を一心不乱にバクバク食っている。
 ウ、ウレシイ。僕はいつでも食い盛りの若者の味方だ。

023【若くして】

 フヅは昔から絶えず問題を起こしている問題児だ。中学校の登校拒否に始まり、アイドル追っかけ、テレクラ、ネイルの専門学校入学即中退、、、シュウに近況を尋ねる度になにかしら悪い報告がある。そのフヅもネイルの学校を中退後にシュウも通った全寮制の予備校へ入り、京都の大学の文学部に合格した。その大学の偏差値は高く、全国的に有名な大学だ。シュウが言うには入学後、男遊びに狂ってたらしい。フヅに大学について話を振ったところ、2年で中退して福岡に戻り、今は一人暮らしをしている。文学には全く興味がなかったことが中退の理由らしい。
 福岡に戻ったフヅと僕は1度だけ電話で話したことがある。当時のフヅはコールセンターで働く派遣社員で、彼氏が2人いると言っていた。彼氏がいることは僕も嬉しかった。1人が去ってもまだ1人残る、彼氏ができない悩みより全然ハッピーだ。
 フヅには今一番ホットな話題である兄サイマーのことをダイジェストで語り、借金はないか聞くと、フヅは涙を流しながら白状した。
 布団の訪問販売150万、エステ、カードローン、、、総額400万以上。予想外の展開に詳細な金額は忘れてしまったが、すかさずその布団の寝心地について聞いた。そんだけ高額な布団だ、超快楽的な睡眠を得られたに違いない。が、寝心地は普通とのこと。販売方法が押し売りに近かったので、母親アキの同級生の弁護士に頼んで、販売方法に問題があるとして契約を無効にしてもらったとのこと。普通その若さでそんなに高額な布団なんて買わない、セールスマンがイケメンだったのか聞くとフヅは笑顔で頷いた。
 他の借金は誰がどうやって返したか訊くと、200万のうち100万は母親アキ、残り100万はシュウが結婚資金に貯めていたものを充てて返済したとのこと(本当はアキが100%)。コツコツと積み上げたお金は重く目的がある生きたお金だ。ヘビィで家族を泣かせた話を人ごとのようにアッケラカンと語るフヅに沸々と怒りがこみ上げてきた。
「お前そのカネ返しとんのか!」
 ひと月の稼ぎから生活費を引いて余る2、3万円をアキへ返済しているとのことだ。フヅは登録制の単発仕事で生計を立てている。
「東京には何しに来とうとや!」
 一週間前から東京にいて、すでに東京で日払いの仕事をしている。仕事先で一緒になった子のアパートに住ませてもらっているらしい。バイト初日に一瞬で友達になって、お互い遠慮なく各自で飯を買って暮らしてると。その友達もフヅがいると淋しくないので喜んでいると。友達って一瞬でできるものなのか!?
「東京にはいつまでおるとや?」
 近々東京に部屋を借りて東京に住むらしい。来週にでも福岡に戻って、また上京して東京で働く予定とのこと。福岡の部屋の家賃は3万円と格安なので解約するつもりはないらしい。
「福岡の家賃が無駄やん! その分借金返せや!!」
 いつかはそうしたいとのことだが、そのいつかについて責めると「……」。

 そして再び泣き出した。

024【二兎を追うものは、、、】

「スゲエェェェ!!!」
 ナオと2人、声を合わせた。これはヤバイ、グレート、ハイパー、、、フヅは規格外のサイマーだ。一般サイマーは基本的に金欠なので行動範囲は狭いが、フヅは軽く飛行機に乗り、長距離を移動しながら人に迷惑かけまくるフライングサイマーだ。背負った400万以上の借金は、背負い投げで家族へ投げつけ、自己実現へ邁進している。その姿に悲壮感は見あたらない。まだ若く今後に期待というか、さらなる成長が末恐ろしい。兄サイマーが遠くに霞んで見える。
 場所を川沿いの公園へ移し、さらに説教を続けた。僕は説教を受けるのも嫌いではないが、するのも好きだ。フヅの更正は絶望的と思うが、市場価値からの観点で冷静に査定すると、売りは26歳という若さ一点のみだ。多くのサイマーは10年モノ以上で、中古車で言えばポンコツの廃車状態だ。フヅは今のペースで働いて返済していても確実に時間度を失う。その若い輝きは2度と戻ってこない。
 「フヅ、お前には僕の兄と違って若さというアドバンテージがある。アキには借金返済を一時中断してもらって、目標は大きく司法書士クラスの国家資格をとれ、やればできる」。フヅは有名大学にも合格したその学才に賭けるしかない。
 「うん、わかった! 資格については友達に調べさせる。実は大学時代の彼氏は今でも私に惚れてて、彼はもうすぐ弁護士試験に受かりそうなの!」
 やっぱりこりゃダメダメだぁ。うん、わかった! 以降のセリフは余計だ。
 フヅは「シホウショシ、ワタシニハワカサガアル、、、」とブツブツ呟いていた。
 雨もポツポツ降り始め、フヅは咳き込み始めた。喘息らしい。まだまだ説教したいが家へ向かった。居候生活は窮屈な思いをしているに違いない。今夜くらいはゆっくり風呂に入ってぐっすり寝てもらおう。久しぶりの再会なのに説教し過ぎたかな。
 風呂上がりのフヅのスッピンは昔と何ら変わらない。あの頃のかわいいフヅのままだ。フヅはただ心に厚化粧をしているだけだ。ちょっとだけメイクの方向性を変えるだけでいいのだ。

 ひらめいた!

 今日の僕はチョー冴えている。明日は日曜なので兄は家にいる。フヅの目の前で兄弟絶縁ショーを見せよう。兄にはキッチリとカタをつけ、フヅには兄弟ならではの壮絶な喧嘩を見せつけ、そしてフヅは衝撃的絶縁の証人となり、過去の行いを悔い改める。まさに王手飛車取り一石二鳥作戦だ。二兎を追うものは、、、二兎ともゲットしてもいいじゃないか。過払い入金通帳も届いたから心おきなくやれる。
 その夜、僕は興奮して眠れなかった。この奇跡的に巡ってきたタイミングに、それも福岡からはるか離れた東京で。そして僕はサイマー伝説の新たな歴史を切り拓く。

 そのカギは僕が握っている。

025【絶縁宣言】

 眠れないまま朝を迎えた。前夜から強めの雨が降り続いていて、爽やかな朝にはほど遠い。ナオも僕が眠っていないことは知っていた。ナオも今では兄の絶縁には大賛成だ。フヅサイマーを間近で見てコトの重大さに気づいたようだ。思考回路が修復不可能なのほどにメチャクチャに脱線混線していること、関わると確実に被害を受けること。僕はコーヒーを飲んで喉を潤わせ、間違っても絶縁宣言中に声が裏返らないよう準備しながらフヅの目覚めを待った。
 10時過ぎ、ようやくフヅがリビングへ現れた。寝起き眼であいさつの反応が鈍いので、ナオがヨーグルトにmichaelがプレゼントしてくれたあのシロップをかけ、朝食とした。
「美味しい!」フヅは初めて僕たちに質問した。「このシロップは何?」。ナオがこのシロップはジンジャーから作られたこと、ドイツから持ち帰ったことを説明した。これが最初で最後のフヅからの質問だった。仕事の話とか形式的な質問も受けていない。ずっとフヅオンステージだったのだ。
 フヅがリビングのイスに座っていることを確かめ、一石二鳥絶縁大作戦を決行した。電話に出た兄にフヅに聞こえるよう大きな声で
「お前はもう兄ではない、これからはただの多重債務者として扱う!」
 一方的に、これ以上ナオを多重債務者の危険にさらさないために、今後一切の連絡、交流を絶つことを強く宣言した。
「返せばいいんやろ! 返す返す!」
 おいおい、代払いをした僕に逆ギレだ。
 僕はシンプルに、そして手短な言葉を探し言い返した。
「お前には知力、根性、技術、何もないじゃないか! 返せるわけないじゃないか!」
 兄は落ち込んだ小さな声で言った。
「これからオレどうすればいいとぉ…?」
 僕は声を振り絞って言った。
「知らねぇ! 勝手にしやがれ!!!」。
 そして電話を切った。目頭は熱い、電話を叩きつけたいくらいだ。
 間髪入れずにフヅに向かって言いはなった。

「見たかーっ!!!」

(Categories・サイマー第3部 026【グランドゼロ】へ続く)

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